スクリーンリーダーの種類とシェア
【初心者歓迎】アクセシビリティやるぞ!LT祭り #3発表資料
オープニング
山崎「イエイ」
みんな「イエーイ」
山崎「元気かい」
みんな「元気ィ」
山崎「代替テキスト、入れて、いる、かい」
みんな「入れてるゥ」
※元ネタは筒井康隆『文学部唯野教授』
自己紹介
- 山崎 規弘(やまざき のりひろ)
- 日経BPコンサルティング デジタル本部コンサルティング部所属
- 肩書きはないが、だいたいウェブサイトの受託制作におけるプロジェクトマネージャーやディレクター的な立場
- X(旧Twitter)アカウントは@chuff_chuff09
- アマチュア落語と横浜DeNAベイスターズの応援が趣味
今日話したいこと
- イベント自体のアクセシビリティも大事だよねという話
- スクリーンリーダーについての簡単な説明と、複数のスクリーンリーダーの紹介
- スクリーンリーダーのシェアについて
- スクリーンリーダーを使うための学習リソースの紹介
イベント自体のアクセシビリティ
- 「アクセシビリティやるぞ!LT祭り」は資料のアクセシビリティにも言及していて素晴らしい
発表者は、可能な限りアクセシビリティの高い発表資料をご用意ください
- 資料以外にもイベントのアクセシビリティを向上させる方法があるので、いくつかやってみたい
ビジュアルディスクリプション
- 登壇者自身についての視覚的な説明
- 登壇者の任意で行う
- 無意識の偏見を回避する効果がある
- 簡潔に行う
今日のビジュアルディスクリプション
- 30代後半の男性
- 黒髪のショートヘア
- べっこう柄で丸いフレームのメガネをかけている
- 「何度でも立ち上がる覚悟はあるか?」と書かれた黒い半袖のTシャツを着ている
アクセシブルな会場内アンケートの方法
- 挙手:視覚的にはわかるが、聴覚的にはわからない
- 拍手:聴覚的にはわかるが、視覚的にはわからない
- 頭の上で拍手:視覚的にも聴覚的にもわかる!
会場のみなさんへの質問
スクリーンリーダーを知っていますか?使ったことありますか?
スクリーンリーダーの種類とシェア
スクリーンリーダーとは?
- 画面を読み上げるソフトウェアの総称
- 「スクリーンリーダー」という名前のスクリーンリーダーがあるわけではない (「ブラウザ」という名前のブラウザがあるわけではないのと一緒。探したらあるかもしれないが)
- 「スクリーンリーダーで検証した」という場合に、どのスクリーンリーダーで検証したか書くべきではある
- ブラウザとスクリーンリーダーの組み合わせによっても読み上げに違いが出ることがある
- a11ygogoというYouTubeチャンネルで実際の読み上げを聞くことができる ※a11y=エーイレブンワイ。Accessibilityのアクロニム
代表的なスクリーンリーダー
Accessibility Supportに掲載されているもの+αを紹介します
- Windows
- PC-Talker
- NVDA
- JAWS
- ナレーター
- macOS
- VoiceOver(macOS)
- Android
- TalkBack
- iOS
- VoiceOver(iOS)
- その他
Windows
PC-Talker
- 高知システム開発が提供する国産のスクリーンリーダー
- 日本語で使用できるWindowsのスクリーンリーダーとしては今日紹介するものの中で最も歴史が古い
- 国内でのシェアが高い
- 有償だがその分サポートが手厚い
- 個人で利用する場合には年額9,900円
- 音声出力機能のないクリエイター版が無料で利用できる(音声で出力される情報がテキストで表示される)
NVDA
- 無料で使えるオープンソースのスクリーンリーダー
- Windowsだったらまずこれを使ってみるのがよいと思う
- NVDAチートシートやNVDA日本語チームのYouTubeチャンネルがあるなど情報が豊富
- 無料で使用できるのは開発者にとっても当事者にとっても大きい
JAWS
- 高機能でカスタマイズ性の高いスクリーンリーダー
世界のスタンダード、世界最強スクリーンリーダー
- JAWS 2023 日本語版を新規で購入すると税込みで207,900円
- コンピューターの起動後40分だけ使用できるJAWSデモ版がある
ナレーター
- Windowsに標準で搭載されているスクリーンリーダー
- 積極的に使用されていることは少なく、最終手段として使われていることが多い印象
macOS
VoiceOver(macOS)
- macOSにデフォルトで搭載されているスクリーンリーダー
- iOSのVoiceOverとは別物
- 漢字の詳細読みが実用レベルではないとのこと(2021年)
- 2022年には改善されているとの意見もある
- シェアも低い
Android
TalkBack
- Androidにほぼ標準搭載されているスクリーンリーダー
- VoiceOver(iOS)に比べるとシェアは低い
- ショートカットの起動がめんどくさい(音量ボタンをどちらも長押し)
iOS
VoiceOver(iOS)
- iOSに標準で搭載されているスクリーンリーダー
- macOSのVoiceOverとは別物
- シェアが非常に高い
- ショートカットの起動が楽(ホームボタンがあればトリプルタップ)
その他
ChromeVox
- Chrome OSに標準で搭載されているスクリーンリーダー
Orca
- Linuxで使用できるオープンソースのスクリーンリーダー
スクリーンリーダーのシェア
第3回支援技術利用状況調査報告書(2023年5月から6月にかけての調査)
PC
- Windowsのみの利用が92.59%
- PC-Talkerの利用率が83.33%
- NVDAの利用率が52.31%
- ナレーターの利用率が42.59%
- JAWSの利用率が11.11%
※複数のスクリーンリーダーを使用しているユーザーがいるということも読み取れる
スマートフォン
- iPhoneの利用率が91.00%
- Androidの利用率が18.48%
検証環境はどのようにするのがよいか
スクリーンリーダーとブラウザのシェア、有償・無償を考えると
- PCではNVDA + Chrome
- スマートフォンではiOS VoiceOver + Safari
とするのがよいと思う
スクリーンリーダーの使い方を学ぶための資料
NVDAを用いたチェックの実施方法
- freeeアクセシビリティー・ガイドラインの中にある
- 初期設定の方法から書かれており非常に親切
ウェブ制作者のための「はじめてのiOS VoiceOver」チュートリアル(初級編)
- 基礎的なことから書かれておりわかりやすい
- ウェブ制作者のための「はじめてのiOS VoiceOver」チュートリアル(中級編: ローター)もある
参考資料
- 第3回支援技術利用状況調査報告書
- WebAIMが9回目のスクリーンリーダー調査の結果を公開
- イベント・レポート:第1回支援技術利用状況調査結果報告会
- いま日本の視覚障害者はどのようにPCやスマホを使っているのか?〜第1回支援技術利用状況調査結果報告会〜 関連ツイート
- 【オンライン座談会】各種スクリーンリーダーの特徴を知ろう!(前編)
- 【オンライン座談会】各種スクリーンリーダーの特徴を知ろう!(後編)
- スクリーンリーダー関係年表(日本を中心に)
- X(旧Twitter)を「NVDA PCトーカー」などで検索してみる
- How To Create A Helpful Visual Description
- What is Visual Description?
- Visual description
おまけ:懇親会で話したいこと
個人的に感じているウェブアクセシビリティの向上を図る上でのハードル
- ガイドライン(WCAG)の難解さ
- 支援技術に対する腰の重さ(このLTである程度解消したかった)
- 当事者との接点のなさ
- アクセシビリティやアクセシビリティ界隈が怖いと思われること